アンモナイト・ギャラリーでは、しまうちみかによる個展を開催いたします。本展は、熊本市現代美術館の企画「茫茫」での発表を終え、はじめての個展となります。しまうちは、2024年から東町美術研究所(旧 美術研究所「東町工場」)に参加するメンバーの一人です。
彫刻を専攻したしまうちは、身体的な感覚や素材への意識を基盤に、平面表現を主軸としながらも、立体的な表現を含む多様な形式で制作を続けてきました。描くこと、形づくること、その双方を行き来しながら、物質、空間、時間がどのように関係しうるのかを問い続けています。その探究は一貫して「境界」や「変容」という主題へと向けられています。
作品に見られる造形やイメージには、各地の伝統芸能、とりわけ南九州の来訪神行事に登場する仮面の存在と、アメリカの映画やアニメーションに現れるキャラクターとの関係性が示唆されています。信仰や儀礼に根ざした仮面と、大衆文化の中で流通するキャラクターという、異なる文脈に属するイメージは、恐れと親しみ、異界と日常といった相反する要素を内包しながら、平面や立体といった形式を横断して立ち上がります。
彼女の作品は、明確な物語や結論を提示することを避け、鑑賞者の知覚や思考がゆっくりと生成される過程そのものを内包しています。熊本市現代美術館での個展やVOCA展への参加など、制度的な場での評価を得る一方で、地方に拠点を置いた制作を継続している点は、現代美術における実践の在り方を考えるうえでも示唆的です。
本展では、平面と立体を横断するしまうちみかの表現を、特定の解釈へと回収するのではなく、複数の読みが併存する場として提示します。作品と向き合う時間の中で、それぞれの感覚によって関係が編み直されていくことを期待しています。

